私的エッセイ

貴重な虚構のためのホッチキス

こういうことを話すと、現代の若者たちは信じられないという顔つきになるのではないだろうか。 自分が大学生の頃には、携帯電話はなかった。 より正確には、とびっきり高価だった当時の携帯電話は少数の青年実業家たちだけの持ち物で、彼らは弁当箱より大き…

女神からの電話を待ちながら

きっと好きなことを好きなように書いているように見えるのだと思う。 しかし、このブログのここまでの記事には、さまざまな制約があって、①フルタイム勤務の傍ら1日に1エントリ書く、②(そうする必要があるので)純文学や文芸批評の専門分野で卓越性を顕示す…

ささやかな文学的自叙伝

昨晩の記事で野坂昭如に言及したせいで、2003年に数か月だけ書いて閉鎖した処女ブログのことを思い出した。当時はサーバを借りてそこに自分でブログツールをインストールしなければならないほどハードルが高かったこともあり、たぶん自分は最初に日本語ブロ…

Sky is the Limit

瞠ける蒼き瞳を縫い閉じにいくごとく飛ぶセスナ機一機 半年くらいの自分の短歌キャリアの中で、記憶している自作の歌はこれくらいだ。興味を持ってもらえるか不安だが、こんなわずか一首の学生短歌の背景にも、先行テクストが2つあるのが、作者の自分にはわ…

「時幻」つきの恋

20代の女の子と映画を見に行くのに、『裸のランチ』を選んだのは失敗だった。 裸のランチ [Blu-ray] 出版社/メーカー: キングレコード 発売日: 2017/08/02 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る バロウズの同名小説に加えて、彼の自伝的要素もうま…

小指の尖が痛むのは

もしその人にルーツというものがあるなら、それはいつか必ずその人の人生に回帰してくるものなのかもしれない。 そんなことを思いついたのは、若い頃に崇拝していた三島由紀夫の或る小説への「能」の影響に言及したとき、父方の祖父のことを思い出したからだ…