2017-06-02から1日間の記事一覧

文芸批評草稿(2.5)

では、光をもう一筋あてよう。塚本邦雄には、先に引用した二首よりさらに鋭く切り込んだ冴え冴えとした一首がある。 咳を殺して歩む靖国神社前 あなたにはもう殺すものなし 「皇帝ペンギン=天皇裕仁」という正確無比な解釈を、天皇への言及を禁忌とする通俗…

嗚呼、オモテナシの国よ

tabularasa.hatenadiary.jp ここで尾崎豊の葬儀後に或る少女に出遭ったことを語り、尾崎豊の変死に裏がありそうな感触を語った。 尾崎豊と同い年の古川利明は、10年弱の新聞記者生活から足を洗った理由を説明するのに、職業的自伝の冒頭で尾崎豊の葬儀から語…

文芸批評草稿(2)

2.日本に呪い定められた動物:皇帝ペンギンもしくは鴇 カフカの小説中にあの有名な「毒虫」を始め、多くの動物が登場する例を挙げるまでもなく、「芸術はたえず動物につきまとわれている」のだが、それに言及するドゥルーズ/ガタリが動物の縄張り行動をも…