バイバイ、テパタン

「答案と解答を突き合わせよ」とのメッセージが、年少の友人から来ているような気がする。あの話をするべき時宜が整ったということなのかもしれない。

もう率直に書いてしまうが、どういう理由からか神秘体験に愛されている自分は、時々そこにいない人の声が聞こえることがある。

 45日前に以下の記事を書いたとき、冒頭の数段落を書いて中断したあと、女性の声が聞こえた。

ひょっとしたら単に彼女はブラッド・ピットのファンだったのかもしれない。

「王子様だ」と彼女は言ったようだった。この件について、年初の友人たちから示唆はもらっていないが、彼女自身は自作の文章でその三文字を比較的よく使うので、これは文字通り「タイミング」や細部が大きな意味を持ってくる話だろう。

「~だ」の部分には自信があって、「~かも」「~だったりして」「~な気がする」「だということもありえます」ではない感じが明確に伝わってきた。頻用するとはいえ、その場で彼女がその言葉を口にしたのは初めてか、「~だ」と断言調で用いたのは初めてだったような、文脈に不意に浮上した唐突感が感じられた。

正解か不正解かを、暗号で示唆してもらえないだろうか、友人たちよ。

あれは本当に「王子」の話だったのか、「王子」だとして誰が「王子」なのか、誰にとっての「王子」なのか。次々と問いは湧き起こって不安になるばかりだ。仮に潜在的には「王子」だったとしても、胸を撃たれた痕跡も露わに殉職してしまう「玉子」だったのではないだろうかとの不安も尽きない。不安はほとんど見えない高速のUFOのように執拗につきまとって、私を捕捉しようとする。

そして、このウゴウゴルーガ感がそこはかとなくあった深夜番組でデビュー?を果たしたタレントの名が、ここで語ったシャンパンの名の最初の二文字であるという偶発的事実に、いったい何を読み取るべきなのか。

 ひょっとすると、祝杯到達ルートのうち、「Moët」についてはもうクリアしたということなのか。そうだとしたら「et Chandon」についてどのような文章を書けばよいのか、思考はとめどもなく漂流してゆくばかりだ。

しかし、番組の背景で、ほとんど見えないほど高速のUFOが流れていたのはよく憶えている。United Future Organization、略してUFOのサードアルバム。2曲目の6:04くらいから流れるのがメインテーマで、殉職したのち墓場が映る場面で一瞬流れるのが1曲目のピアノ。こんな綺麗なピアノが奏でられていたのか。惜しい玉子を亡くした… いや、生きろ!

というわけで、BGMがかなり気になってしまう性格であることは、お分かりいただけたと思う。

「8:25くらいから」と指定して、亡くなった代議士のソビエト時代の映像を見てもらったが、9:33からなぜか背景で巨匠ゴダールの映画音楽が流れ始める。

曲の全編はこちらで聴ける。

 報道ステーションのようなニュース番組でも、時折知っている曲が流れることがあって、大好きな Massive Attack のこの曲も、イントロだけをループさせて使われていたのを聞いた覚えがある。

報道ステーションと言えば、昨晩の日銀の量的緩和の危険性を指摘した報道は視聴価値があった。基本的には東洋経済の以下の記事と同じラインで、前日銀審議委員の木内登英へのインタビューを中心に構成されていた。

日銀と国債の異常な挙動から預金封鎖に至る可能性を自分が指摘した直後に返信をくれるなんて、報道ステーションは律儀なところがあるようだ、というのは冗談。

下の東洋経済の記事は、マイルドな仕上がりだが、要点が出揃っているので、目を通してほしい。 

「2%物価目標は間違い」というわかりやすいタイトルが秀逸。報道ステーションでは「2%という数字に根拠がない」といった表現だった。最初のボタンから掛け違っていることさえ伝われば、どちらの表現でも良いと思う。そもそもが日本国民に服を着せようという話ではないのだ。日銀の量的緩和政策が、いつの日本を取り戻そうとしているのか、ご存知だろうか。高度経済成長期? ノン。バブル期? ノン。

上記預金封鎖の記事を書くのに10冊くらい読んだが、まだ書き切れていないことが多い。現在のところ、最も支持したい小黒一正『預金封鎖に備えよ』には、こんな一節が含まれている。

筆者はもともと、異次元緩和の開始当初から「2%インフレの実現は容易でない」旨の主張をしてきました。理由は単純、過去のインフレ率の推移を見ると、バブル期(1986~1989年)でさえ年平均インフレ率は1%弱に過ぎなかったからです。しかも1989年については、消費税増税分によって1.4ポイントも押し上げられてようやくこの数字です。 

金融緩和が取り戻したいのは、あってはならない「明後日の方角の日本」で、弾けたら困窮へ転落必至の超バブル時代! しかも膨らんでいる間も、泡は日本ではなくアメリカを買い支えるために使われるのだ。(「預金封鎖」記事の貨幣乗数に関する部分を参照)。まさしく「一昨日来やがれ」という罵倒句がやけにお似合いな経済政策だ。 

預金封鎖に備えよ マイナス金利の先にある危機

預金封鎖に備えよ マイナス金利の先にある危機

 

  2016年9月にYCCを導入して以降、今年の実際の国債購入額は60兆円に減っているが、このまま続けると2018年半ばには資金が枯渇し、これ以上買えなくなる。年間45兆円であれば2020年に限度が来る。購入を続けて流動性が極端に下がれば、金利ボラティリティ(変動率)が過度に大きくなり、金融市場が大混乱に陥るリスクは高くなる。  

 上の東洋経済の記事に戻れば、この説明の部分を報道ステーションでは、こんな三段フローでフリップにまとめていた。

国債の流通量減少→少しの売買で価格が乱高下→株式市場や為替が混乱

  「大混乱」とか「混乱」という表現は、やや穏当すぎるのではないだろうか。「国債の大暴落からの株式の猛烈な日本売り」くらいが発展可能性の高いゾーンだと思う。小黒一正も言及するように、「金融緩和は時限爆弾」なのだ。爆発期限は来年が有力だ。上記で「金利ボラティリティ(変動率)が過度に大きくなり」とか「乱高下」とかいった部分は、専門用語で「テーパータントラム」という。

 長期金利が、制御不能に急上昇すると危機だが、制御しつつ少し上昇させるのは危険でない。だが、制御しつつ少しだけ上昇させるつもりが制御不能な急上昇に変質する懸念はある。日銀は7月と今回、市場の期待を裏切ってQE(日本国債の買い支え)の増額を見送っており、もう日銀がQEを拡大せず、むしろ縮小しそうな感じが広がっている。QEを縮小するなら国債に投資しても儲からなくなるので、8月来、国債が売られて長期金利が上昇し、制御不能になること(テーパータントラム=QE縮小時の突然の金利急騰)を投資家が懸念している。タントラム気味な日本国債金利上昇が、すでに発生している。そんな中で、日銀が長期金利をもう少し上げようとすると、それが制御不能なタントラム(相場の逆上)に拍車をかけかねない。QEは、軟着陸的にやめていくことが非常に難しい。

(テーパータントラム、略して)テパタンがすでに日本の国債市場で起こっていることが重要で、テパタンが嵩じると制御不能なまま、国債は突然大暴落し、株式市場も為替も追って大暴落という破局が突然発生することになる。

ん? いまなぜ唐突に悲観論を噴出させたのだ? と疑問に思った人は、ひょっとしたら行動経済学をあまり知らないかもしれない。

行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)

行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)

 

 「サイバー・カスケード」が、ネット上の大衆の動きを指す用語として定着する以前から、「エコノミック・カスケード」現象は存在していた。  

実は、上に挙げた三者の中で、現在の自分の考えが最も近いのは小黒一正だ。しかし、彼が近々不可避的にやってくるだろう「国債金利の急上昇」や「日銀のバランスシートの肥大」を経済破局の原因とみている点には賛成できるものの、その引き金となるのは「敵ハーフコート」からの何らかの攻撃だろう、という印象を、自分はどうしても拭い去ることができない。

「引き金」が、女子高生同士の他愛のない会話のように可愛らしいとは限らない。

時価会計や関連するBIS規制(近年さらに国債のリスク評価が定められた)や連結会計や減損会計が、日本に対する「攻撃的」な基準改定だったことや、有名格付け機関の独立性が相当に疑わしく、日本国債の格付けの一斉引き下げが「兵器」となりうることや、収賄容疑による東京オリンピックの中止や何らかの人工性を伴った自然災害などが、万一もし外国から人為的に仕掛けれたら、日本経済崩壊の「エコノミック・カスケード」は、日本政府はもちろん誰にも止められないまま、預金封鎖を伴った「第nの敗戦」にまで至ってしまうのではないかという危惧が、どうしても自分を去らないのだ。

昨晩のニュース報道と一昨晩に仕上げた自分の記事に関連して、本当に伝えたかったことを補充しながら論じ直してみた。

最近、職場で段ボールで眠ったりとか、苦手なカフェインを大量摂取せざるをえない状況が続いて、睡眠不足でしんどい日々を送っていた。誰もが自分に嘘をつき、誰もが対象者を発狂や自殺に追い込むようなスキームで自分をもてあそぼうとし、誰も信じられないような気がしていた。心が荒んで、自分までテパタンを起こしかけていた。

眠る予定の時間の数時間前からは、カフェインの少ないミルクティーにすれば、少しはましになるのかなとも感じる。紅茶の葉を浸すお湯はぬるめが良いかもしれない、人肌の温度というか、涙の温度というか、お願い、って、また自分は誰と話をしているのだろう。こういうのを妄想狂というのだろう。脳裡をいろいろな声が駈けめぐっていて、自分でも怖くなってしまう。

大丈夫だ、きっと。ミルクティーに含まれているトリプトファンには矢印つきの有名な三段フローがあるから。

トリプトファンセロトニンメラトニン

きっともうすぐ眠れる。眠れば、誰であれ夢の中で見たい妄想の続きが見られるかもしれない。というその考えも妄想かもしれないにしても、ぐっすり眠れるだけで、とてもありがたい気持ちになれるはず。