融合の『ああ無情』は未完

どこかの外国のサーキットを車が走っている。ドローンで撮影されたのだろう。上空から、橋のかかった川沿いの道を、ルノーの小型車が走り去っていくのが愛らしく見える。

しかし、サーキットにしては、いささかスピ―ドが控え目すぎないだろうか。

実は走っているのは、水と空気で走る電気自動車。ルノー・日産連合が開発した新型車だ。ただし、最初に発明したのは彼らではない。先駆的に同じ発明をした人々が、これまでに何人も殺されているらしい。

 日本の川崎重工が開発した40円バイオエタノールも、技術開発の成功から一か月足らずで社長解任劇に発展し、その後の音沙汰がなくなった。

2012年8月22日放送 21:54 - 23:10 テレビ朝日
報道ステーション (ニュース)
 福島県では福島第一原発の事故によって放射性物質で山林が汚染されており、木の皮を処分したくてもできない状態が続いている。筑波大学の恩田裕一教授は事故後、福島県の山林で放射線量のモニタリングを続け、落ち葉の分解などでセシウムが土壌深くへと浸透を始めていることも明らかになった。取材に対し恩田教授が、「根本的な除染をしないと山全体が廃棄物になってしまう」と訴えた。
 今も高い放射線量に悩まされている福島県飯舘村では、植物を発酵して作るバイオエタノールの精製と除染を同時に行う技術を応用した装置が活躍している。この装置を開発したコンティグ・アイの鈴木繁三社長が、「除染しながらアルコールが作れる。今回この除染に応じた特殊な酵素を作らせていただいた」と説明した。抽出されたバイオエタノールから放射性物質は検出されず、残された廃液の放射性物質は吸着剤で処理できる。
 加工される木材にも問題は及んでいる。製材の過程で出る木の皮が行き場を失い、福島県内で約4万トンとなっている。木の内部や皮から高い放射性物質は検出されていないが、燃やして灰にした時に放射性物質が凝縮するため処理が難しい。

(強調は引用者による)

https://datazoo.jp/w/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%A4/11702162

検索して調べてみたところ、鈴木繁三社長は40代後半か50代前半で、何らかの死因で亡くなってしまったらしい。

ここまでの事実を読んで何も感じない人はいないだろう。西欧から飛んできた日本批判の書『人間を幸福にしない日本というシステム』にも読みどころはあったが、目下の日本で最も不当に幅を利かせているのは「日本を幸福にしないグローバリストたちのシステム」なのだ。 

人間を幸福にしない日本というシステム

人間を幸福にしない日本というシステム

 

 誰がどう考えたって、「フリーエネルギーの開発と放射性物質の無害化」は、人類共通の夢だ。しかし、その共通の夢が実現してしまわないよう妨害してくる巨大な勢力が、世界には偏在している。 

 そういう「現場」に何十年も身を置いて、「フリーエネルギーの開発と放射性物質の無害化」に取り組んでいるのが、現在三菱重工の横浜研究所で研究を進めている岩村康弘。

 日本でも近年「STAP細胞潰し」が主流メディア劇場で華々しく上演されたが、常温核融合も1980年代末に同じような運命を辿った。1%の医療利権やエネルギー利権に水を差す新技術は、いつも同じような排除劇で汚名を着せられた犠牲者となる。

 常温核融合疑似科学との汚名を着せられて、研究規模縮小の圧力を被り、世界各地の研究のほとんどが途絶えてしまった。上記の本自体が、元々の執筆主体は岩村康弘であったのに、あらぬ火の粉が降りかかる恐れを消去するために、元日経のライターへと著者を変えたという警戒心あらわな経緯がある。 

フォン・ノイマンの生涯 (朝日選書)

フォン・ノイマンの生涯 (朝日選書)

 

 昨晩の記事で、「悪魔のように頭の良い」フォン・ノイマンが、常温核融合のどの辺まで接近していたのかを知りたくなった。ノイマンのその分野への接近と離脱の軌跡は、二人のノーベル賞受賞者の軌跡と交わっている。

 一人目は、アメリカの「マンハッタン計画」の中心人物だったハンス・ベーテで、ノーベル物理学賞受賞者だ。 物理学の歴史では、このような形で言及されることが多いようだ。

太陽の輝きと星のきらめきの理由は、20世紀初頭まで解明されていなかった。英国の天体物理学者アーサー·エディントン(1882-1944)は、無限のエネルギーを持っているような恒星は、水素からヘリウムへの核融合反応によってエネルギーを得ていることを1920年に初めて示唆した。(…)

エディントンによって提唱された仮定を正確に特定した、当時としては比較的新しい分野の原子核物理学のもう一人の理論家ハンス·ベーテ(1906-2005)が現れた。ベーテが、1939年に記述した「陽子-陽子連鎖過程」は、その謎を解く鍵を握っていた。ベーテは恒星内元素合成に関する業績によって、1967年にノーベル物理学賞を受賞した。  

 実は上記は、フランスで建設中の核融合ITER のサイト。通常の核融合炉は、重水素原子核トリチウム原子核核融合させるのに、1億℃以上の高温が必要なことにある。核融合設備の消耗や劣化の問題もあって、実用化はかなり困難だ。

 そこで常温核融合への期待が高まるわけだが、通常の超高音核融合との理論的な比較を、ソ連の「水爆の父」アンドレイ・サハロフ(後に反核活動家へ転じてノーベル平和賞を受賞)が、自伝でこう語っているという。

 大意を抽出すると、1980年代でさえ(常温核融合の基礎になる)状態方程式の計算は悪夢に近く、当時最新鋭のコンピュータでさえパンクするほどだ。一方、超高温核融合の分野は純粋理論家のパラダイスだというのだ。常温核融合の理論化に比べれば、核物理学者ハンス・ベーテがノーベル賞をとった業績は、天国のように簡単だというのである。

この問題では、さまざまな側面を解明する必要があります。爆発が起きた媒質内のエネルギー発生(爆発波。ことにチャップマンとジューゲが論じたもの)、前進の途上で起こる球面派(三次元の場合)の減衰、理想気体からのずれ、などなどです。最後の点は状態方程式の一般論に絡むため、カークウッド教授が調べた液体の状態方程式と接点を持つことになりましょう。

 フォン・ノイマンが手紙でそう書いた一節が、昨晩はさっぱりわからなかったが、少しわかってきた。超高温核融合における圧力の変化を詳細に追求していくと、常温核融合の基礎へと通じており、フォン・ノイマンは軍事機密系の仕事に邪魔されるまで、当時そちらへ向かっていたのだった。

  やがて、米エネルギー省によって「国家的に」常温核融合が潰されてしまった後も、「悪魔のように頭の良い」フォン・ノイマンが予測した道行を、わずかな数の科学者が孤独に突き進んでいった。少しづつ論文となりうる客観的な成果を重ねながら。

下記は、常温核融合が潰されてから四半世紀。2015年の日経の記事。

 1989年のユタ大学での発表以来、長らく色眼鏡で見られてきた「常温核融合」が、ここにきて凝集系核科学として産学で復権しつつあるのは、地道な研究によって熱発生や核種変換の再現性が飛躍的に向上するとともに、実用化を念頭にした低コストの可能性も出てきたからだ。

(…)

 三菱重工では、新元素変換の研究を一時、縮小したこともあったが、東日本大震災後の原子力発電所の事故で広範囲に放射性物質による汚染が広がる中、研究体制を強化している

 5月13日と14日に開かれた凝集系核科学のセミナーでは、両日で約150人が訪れ、多くの企業関係者も参加した。そのなかには、大手自動車メーカーや機械メーカーも含まれていた。海外でも、ドイツ・シーメンスやフランス・エアバスなど、巨大資本による凝縮核反応ベンチャー買収のうわさが絶えないという。「試験管の中の太陽」が実現すれば、CO2(二酸化炭素)を排出しない分散電源やモビリティーへの応用が現実味を帯びる。 

(強調は引用者による)

 プロの科学ライターが書いているので、とてもわかりやすくまとめられている。さらに、読者にわかりやすくするために、数点補足したい。

1. 核融合より元素変換が先に進んでいる

 常温核融合では、エネルギー源としての熱源開発よりも、「元素変換」の技術開発の方が先行している。元素変換の方が科学的エビデンスが強固であり、すでに「セシウムはプラセオジウム」に、「ストロンチウムモリブデン」に、物質自体を変化させられることが、再現実験で確かなものとなっている。

 今の物質名を読んで何もピンと感じなかったら、年末の行列に並んで、世間知らずの烙印をおでこに捺してもらった方がいい。セシウムストロンチウムも、3.11東日本大震災以来、日本人を病気にし、畸形児にし、殺している放射性物質だ。

 疑似科学とのバッシングや研究費縮小の憂き目に遭いながらも、その放射性物質を無害化できる方法を日本人が開発に漕ぎつけたというのは、感動以外の何ものでもない。なぜ主流メディアは積極的に報道しないのだろうか。

2. 常温核融合電源は各家庭へ各ロボットへ

 期待されている「分散電源への応用」とは、原発の電力を遠くから送電しなくても、各工場や各家庭に常温核融合発電設備を設けて、電力の「個産個消」を実現できるということだ。期待されている「モビリティへの応用」とは、通常の電池ではすぐに電力不足に陥るロボット群に、常温核融合電源が装備される可能性が高いということ。

 手塚治虫は自身が生み出した「鉄腕アトム」にと原子力とのかかわりについて、こう語ったという。 

「私の与り知らぬところでアトムをPRに使われて残念」

「アトムは核分裂ではなく、核融合エネルギーが動力」

 代替しうる電源は他になさそうなので、鉄腕アトムのように、やがて多電力消費ロボットには、常温核融合電源が搭載されるようになるちがいない。

 「常温核融合」技術でも、すでに超高温核融合で活用されているように、融合炉内のシミュレーション計算などで、「ポスト京」のスパコン量子コンピュータが大きく貢献するのは間違いない。最先端の主要な分野に優れた先駆者がいる。オールジャパンの最先端技術の「協働」には、希望が持てるような気がしてきた。

 さて、人によっては「科学的でない」として、気嫌いするスピリチュアリズムへ話を飛ばそう。

 CERN(欧州原子核研究機構)の理論物理学者ベルは、自らが「ベルの定理」を送り出した量子物理学の世界について、こんな印象的な台詞を残している。

 この世という舞台に現れることを許されない何かが、幕の後で進行しているようだ。その垂れ幕の後では、何かが光よりも速く伝わり、何かが共同謀議している。それは科学者にとって、とても不快なことではあるが。

 「科学的な」最先端の量子力学と「非科学的な」スピリチュアリズムに、深い結びつきがあることはよく知られている。

 今晩書いた元素変換と同じような話題が、3.11東日本大震災の直後にスピリチュアリズムの領域で囁かれていたことをご存知だろうか。震災前に「陸前高田…」という言葉とともに、3.11東日本大震災を予言した松原照子には、天上の存在から、放射能物質除去の助言も舞い降りてきていたらしい。

 その助言を箇条書きにして抽出したリストは、以下の通り。

  • (あ)その放射線の中でも電磁波(γ線)の働きが大きいとも言われていた気が致します。
  • (い)電場と磁場が時間的に変化のない時に、放射線の電磁波γ線の強度を上げる。
  • (う)空気が空気としてある別の所に、別の物が参加したが故に、生物にとっては生命の危機になっているのです。調理の中で 塩を抜く時は塩を使います。

 科学者が「天上の存在」の助言が何であるかを解読したのが、以下のブログ記事だ。 

 さて、ここでの問題は(あ)と(い)の方法である。これは、「積極的にγ線を使って放射線を除去する」方法である。言い換えれば、「γ線を出す放射性物質を同じγ線を使って放射性をなくす」という方法であると考えられる。

(…)

そこで、いろいろ調べてみたところ、実に興味深いものに出くわした。以下のものである。

(…)
「核廃棄物中和技術」
このリンク先は全文が英語で、私にはわからなくて・・・
紹介してくださった方は、このようにコメントされています。

 

『日本の原発事故を受けて、実現が急がれる核廃棄物中和技術をいくつか紹介しています。この中には他の方がコメントされていたブラウンガスもあります。他にも「Photoremediation(光改善法)」という方法があるようで、これは、高エネルギーのEビームを対象物に衝突させることで単色ガンマ線を生成し、光核分裂・光中性子を対象物に起こすそうです。それにより急速な放射性同位元素の中和が起こるのだそうです。』

 

早速中身を読んでみると、驚いたことに、まさに「世見」の照氏の内容とぴったりするものであった。

Photoremediation:

    The Photoremediation process of the American Dr. Paul Brown is essentially conventional physics, albeit applied in a new and novel way. The process involves the use of a high-energy electron beam impinged on a target which in turn produces a monochromatic gamma radiation that is tuned to induce photofission and photoneutron reactions in the target material causing rapid neutralization of radioactive isotopes. The efficiency claimed exceeds 500% due to the high cross-section reactions in the giant dipole resonance region. The 10 million electron-volt (MeV) electron beam produces typical fission reactions in the 200 MeV range effectively turning high-level solid wastes such as spent fuel into an energy source. The process is apparently intended for on-site treatment with some waste-partitioning required, an aspect which may not be desirable in certain countries.

    While this idea is similar in topology to a system being developed by Los Alamos National Labs, Dr. Paul Brown’s approach offers several advantages: no need for extensive chemical pre-processing and the energy required to effect transmutation is greatly reduced. No new technology needs to be developed, yet the engineering of such a photon reactor must be completed and it could itself become a practical method for generating power.

 簡単にまとめれば、こういうことである。
 これはアメリカ人のポール・ブラウン博士によって見いだされた方法で、高エネルギー電子をターゲットとなる放射性物質に当て、単一波長のγ線(単色のγ線)を生じさせ、光核分裂と光中性子反応を起こさせて、放射性物質を別の放射性でない物質に変化させるというものである。だいたいそのエネルギーは10メガ電子ボルト(MeV)である。有効性は500%。

 いやー、これは面白い方法である。

 要するに、放射性の廃棄物質に、10MeV程度の電子線を照射すると、その放射性物質γ線を放出し、そのγ線が触媒となって、自分自身を別の物質に核分裂して行くというのである。こうして、電子線によるエネルギーを得て、核物質が発光し、そして無害化してゆくというのである。

 これは、まさにその「存在」が「照」氏に教えた通りの方法であろう。実に愉快な話である。

 そんなわけで、原理的には、放射性廃棄物を無害化(放射性除去)することも可能である。すなわち、放射性物質を含む物質は、次のようにすれば良いということである。
 有害な放射能を放つ物質は、電子線照射すると、自らγ線を出して、自ら放射性のない物質へ変換する。

 元素変換とは異なるが、放射性物質を「変換」させて無害化させるというプロセスは同じだ。

2000年に書かれた村上龍の『希望の国エクソダス』では、中学生の少年が日本をこう語ってみせる。

この国には何でもある。ただ、「希望」だけがない。

今から17年前の小説。17年後の現在の日本は、2000年と言えば、小泉ー竹中の新自由主義路線以前だ。17年間で日本が失ったものは、あまりにも多い。半年前までは、この国はもう本当におしまいなのではないかと感じていた。それが虚構ではなく現実であることが、この上なく息苦しかった。殺された人々のことを考える時間が長かった。

しかし、今は、駆けまわって情報を採集してくる自分の知のフットワークに、どこか足りないところがあったような気がしている。主流メディアに明るい盛り上がりがないから、この国に希望に値するものがないと思い込んで、知の領野のあちこちに芽吹いている希望の種の小さな発芽を、見逃してしまっていたのではないだろうか。

ひょっとしたら、希望を感じにくい状況にずっといたせいで、自分は希望を拾い上げる動作を忘れてしまっていたのかもしれない。今晩、まだまだ世界が捨てたもんじゃないと感じ取って良いんだよ、と言われた気がして、少し嬉しい。

大江健三郎が好んで引用するアランの一節を、ふと思い出したくなった。

悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである。

 

 

 

 

Just a little more time is all we're asking for
Cause just a little more time could open closing doors
Just a little uncertainty can bring you down

 

And nobody wants to know you now
And nobody wants to show you how

 

So if you're lost and on your own
You can never surrender
And if your path won't lead you home
You can never surrender
And when the night is cold and dark
You can see, you can see light
Cause no one can take away your right
To fight and never surrender

 

With a little perseverance you can get things done
Without the blind adherence that has conquered some

 

And nobody wants to know you now
And nobody wants to show you how
So if you're lost and on your own
You can never surrender
And if your path won't lead you home
You can never surrender
And when the night is cold and dark
You can see, you can see light
Cause no one can take away your right
To fight and never surrender
To never surrender