心を照れが走って

So play the game "Existence" to the end...

ジョン・レノンが書いた「Tommorow Never Knows」の歌詞の最終行のことを考えていた。拙訳ではこんな感じになるだろうか。

だから、「存在」のゲームを楽しんで生きよう。最後まで。

 人々が最も恐怖する「死」は、どの魂にとっても「最高の安らぎ」なのだとも言われてている。この世は、何度も輪廻転生して自分を成長させる魂の修行場なのだ。

「play the game」の訳を考えたとき、プレイステーションのことを思い出した。 

ソニーの革命児たち―「プレイステーション」世界制覇を仕掛けた男たちの発想と行動

ソニーの革命児たち―「プレイステーション」世界制覇を仕掛けた男たちの発想と行動

 

 あまり知られていない話かもしれない。初代プレイステーションでは、垂直統合型のモノづくりではなく、オープンイノベーションを含むプラットホーム戦略を取っていた。何と、基幹部分の半導体の設計と製造を外部企業に委託している。のみならず、直接には収益のあがらないソフトウェアの充実に注力して、プラットホーマーとして「世界制覇」を目論んでいたのだ。プレステ3に組み込んだCELLというCPUの開発や製造には、IBM東芝をも巻き込んで、今でいう IoT のCPUの覇権を狙っていたが、結論からいうと、インテルとの競争に敗れてしまった。

2017年のソニーの好調は金融部門の貢献によるものだったので、製造メーカーとしての頂点のひとつとは言えない。最高峰はいつの時代になるのだろうか。ソニーの創業者がバブル絶頂期に政治家と出したあの共著本の頃だろうか。 

「NO(ノー)」と言える日本―新日米関係の方策(カード) (カッパ・ホームス)

「NO(ノー)」と言える日本―新日米関係の方策(カード) (カッパ・ホームス)

 

 寒いから、話題を変えた方がいいのになあ(ポンッ!) 

 ん? 日本のモノづくりについて語ろうと思っていた矢先、どこかから不思議な声が聞こえた。「(ポンッ!)」の部分は、その声の主が、宙で姿を消した音のようだ。 

出たな、タヌキめ。出たのがタヌキだったとしても、消えてしまったのだから、それ以上どう対応したらよいのかわからない。味方のタヌキか、敵のタヌキかもわからない。何があるかわからないので、念のため、話題を変えることにしたい。

「Ⅳ:共同性の知」のニュープラグマティズムは未チェックだった。ローティー流のアンチ基礎づけ主義に対して、彼を批判的に乗り越えることを目指すマクダウェルは、アリストテレスの徳倫理学を持ち出す。おなじくアリストテレス経由のヌスバウムの「濃厚だが曖昧な善」に近そうだ。「ネタ / ベタ」論でいう「ベタ」な感じで正義を語りうる時代がやってきたということなのだろうか。ただ、マクダウェルヌスバウムの論理構成には疑問を感じる箇所もあるので、時間を取って吟味したい。

大学図書館にもマクダウェルはほとんど本がないのは困ったことだ。手元に参照できる本がなくても、勘で書けることはないではない。マクダウェルヌスバウムアリストテレス回帰から倫理の基礎を引き出そうとする戦略には、正義や倫理の好きな自分でも、いささか疑問を感じてしまう。古代ギリシアの偉大な哲学者を持ち出しても、ヌスバウム主張するところのケイパビリティ・アプローチに要する膨大なコストを政府は負担してくれないだろう。この点では、自分はリベラル・アイロニストのローティに考えが近い。

しかし、それは範囲を哲学に絞った場合の話で、他の分野でアリストテレス以上に倫理の基礎として応用できるものが、発見されるかもしれない。その分野とは脳科学。ずっと読んでみたいと思っていた本を、今日やっと手に取ることができた。 

フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する

フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する

 

どうやら自分は、確たる根拠もなく、怪しげなオカルティストだと思われているようだ。傷ついちゃうな。これでも幼少期は、SF小説と科学実験の好きな科学少年だったのに。

確かに、同じ場所におらず、電子デバイスで中継されてもいないのに、誰かの声が聞こえたことはあるし、友人たちの示唆するところによると、どうやらその声の内容は当たっていたらしい。(答え合わせを試みたのは、下の記事)。

でも、テレパシーの存在が科学的に証明されていることは、元科学少年に言わせれば、21世紀の常識だ。

1. 脳が何をイメージしているかを読み取る実験

MRIの中に入った被験者にモナリザの絵を見せる。すると、MRIが信号を変換してボクセル図として表示する。その画像を元に、コンピュータがネットで画像検索をして、画像が誰かを特定する。カリフォルニア大学のバークレー校の実験では、被験者が見たのはこの女優ではないかとコンピュータが弾き出した。今後、解析精度は加速度的に向上すると言われている。

 2. 心でタイピングする脳波タイプライターの開発に成功

 特定の病気の患者の脳に電極メッシュを接触させて、言葉を測定する実験の成功を経て、開頭手術なしで、心でタイプする脳波タイプライターが市場に出現した。

以下のデバイスをベースにしたアプリケーションらしい。

According to Guger Technologies, most people become competent thought-communicators after 10 minutes of training on the system and are able to spell out five to 10 characters a minute.

グーガーテクノロジー社によると、ほとんどの人が、10分ほど訓練すると、考えるだけでコミュニケーションを取れるようになり、1分間に5~10文字の綴りをタイプできるという。 

 人間からデバイスへ発信するテレパシーは、すでに完成しているというわけだ。

 3. 人々はテレパシーゲーム機で遊んでいる

 2018年発売予定のプレステ5には、まだテレパシー機能は搭載されていないようだ。大丈夫、プレステ6で搭載するよう、今テレパシーで頼んでおいた。

純然たる勘でいうと、きちんとした訓練さえ積めば、「かめはめ波」を出せるようになる日も近いのではないだろうか。出せるようになったら、ぜひともぶんぶんタービンを回して、脱原発後のベースロード電源にして、日本を救ってもらいたい。これも今、テレパシーで頼んでおいた。 

 4. テレパシーの本領発揮(脳と脳もつながっちゃうよ)

 下のTEDの動画は2014年の動画だ。そこでは、猿と猿との間での「テレパシー」について語られている。 

この動画以前の2013年に、すでにニコレリス博士は人間から人間へのテレパシーの伝達に成功している。ワシントン大学で、科学者Aが科学者Bへ「右手を動かす」という「意志」をネット経由で送ったところ、科学者Bの右手が勝手に動いたのだという。

ニコレリス博士は、このようなBMI(Brain Machine Interface)で人々がすべて融合的に接続され、究極の直接的政治参加が実現する可能性を示唆している。ほとんどSFにしか聞こえないその着想を語る際、彼が「巨大な集合意識」というユングに似た用語を使っているのが興味深い。

 しかし、著者のミチオ・カクのいつも通りのそつのないわかりやすさは、これらのテクノロジーの進歩がどんな未来を人類にプレゼントするかを、明確に語ろうとはしない。

自分の言葉で言い直すと、各種テクノロジーを1%グローバリストが独占して、99%を奴隷支配するだろうとするディストピア。過去のテクノロジー群と同じく、価格低下による急速な普及によって、人類全体に恩恵がもたらされるとするユートピア。個人的には、フリーエネルギー以前が前者、以後が後者となるだろうと未来予測している。 

しかし、それは範囲を哲学に絞った場合の話で、他の分野でアリストテレス以上に倫理の基礎として応用できるものが、発見されるかもしれない。その分野とは脳科学

あれ? 記事の最初の方で、大上段に振りかぶって上のように語ったのに、脳科学が倫理の基礎になる話が全然出てこなかったのは、どうして?

寒いから、話題を変えた方がいいのになあ(ポンッ!) 

あ! さっきのタヌキの声! そうか「寒い」というのは暗号で、「3/6い」を表していたのか。

実は、自分が以下の記事で讃辞を送った金井良太『脳に刻まれたモラルの起源』には、先行研究がある。「脳が生む人間らしさ」を研究して約半世紀。右脳と左脳の違いや左右間の通信を研究した第一人者だ。その主著が2018年の3月6日に出版されるのだ。

人間とはなにか 上: 脳が明かす「人間らしさ」の起源 (ちくま学芸文庫)

人間とはなにか 上: 脳が明かす「人間らしさ」の起源 (ちくま学芸文庫)

 
人間とはなにか 下: 脳が明かす「人間らしさ」の起源 (ちくま学芸文庫)

人間とはなにか 下: 脳が明かす「人間らしさ」の起源 (ちくま学芸文庫)

 

 下記でこう言及した内容より、さらに奥深い研究成果に触れることができるかもしれない。楽しみだ。

 

脳に刻まれたモラルの起源――人はなぜ善を求めるのか (岩波科学ライブラリー)

脳に刻まれたモラルの起源――人はなぜ善を求めるのか (岩波科学ライブラリー)

 

新書並のコンパクトな情報量でまとまった知見を与えてくれる本書。とても面白かった。自分の興味に沿って、まとめてみたい。

途中、アダム・スミスの『道徳感情論』が出てきて、おっ出たな、と思った。アダム・スミスは「共感という認知能力が道徳の起源である」と述べている。道徳感情について論じているアダム・スミスと上述のロバート・フランクが、ともに経済学者であるのも面白い。

同じ分野を脳科学がどんどん耕している。脳内のMRI画像を用いてVBM解析を行ったところ、人間の脳に道徳感情(「傷つけないこと」「公平性」「内集団への忠誠」「権威への敬意」「神聖さ・純粋さ」)のそれぞれに対応する部位がすでに特定されたのだという。

しかも、共感能力(「共感的配慮」「視点取得」「空想」「個人的苦悩」)に対応する脳内部位と、道徳感情に対応する脳内部位とは大きく重なっているらしい。  

脳科学がどこまで倫理を基礎づけるのに有効かは、その主著の出版を待ってから考えてみることにしよう。

ミチオ・カクの『フューチャー・オブ・マインド』は誰にでも進められる分かりやすくて面白い本だ。好奇心旺盛な高校生なら、夢中になって徹夜で読んでしまうのではないだろうか。

今晩は、最後に付された補論「意識の量子論?」が、どの程度まで「うほうっ!(=宇宙の法則)」に迫れているのかを確認してみたい。こんなにも豊かで面白くてわかりやすい脳科学の本を書いておきながら、実はミチオ・カクの専門は理論物理学。したがって、喉に刺さった小骨のような量子物理学の問題に言及せずにはいられないようだ。

何度も引用して恐縮だが、話はまた「シュレディンガーの猫」になる。

何度読んでも凄い論争だ。この分野の先駆者であるアインシュタインシュレディンガーたち自身が、反対論陣に回ってしまうという骨肉の争いの様相を呈している。

このパラドックスの解決法は三つある。

1. ボーアとハイゼンベルクコペンハーゲン解釈

 箱を開けて猫の状態を観察すると、その瞬間に「死んでいる猫」と「生きている猫」のどちらかに波動が収束してしまいう「観測者効果」が生じる。

アインシュタインはこれをまったくのナンセンスと考え、これに対抗する「客観的実在」の理論を推進した。 

フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する

フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する

 

 2. 「無限前進」から神へ 

 ノーベル賞を受賞したユージーン・ウィグナーは、観測者効果にメタ階梯があることを重視した。猫の生死の波動を収束させる観測者がいるのなら、その観測者が存在していると波動を収束させる観測者がいるはずで、さらにその観測者を… というように、無限にメタ観測者が増加していく論理構造が存在していることになる。実際には、人間のカズは有限なので、その(「無限後退」ならぬ)「無限前進」のどこかに「神」のような最終的な審級があるはずだとした。 

 3. エヴェレットの多世界解釈

君の名は。』の土建屋の息子が、映画の冒頭で言及していた。波動関数は収縮しておらず、分岐する。したがって、宇宙では絶えず分岐が生成し、無数の多宇宙となっているとするエヴェレットの説。ミチオ・カクは「最も気味が悪い」と評している。しかし、この多世界解釈の研究も先へ進んでいる。

 パラレルワールドの概念は1957年、当時プリンストン大学の大学院生であったヒュー・エヴェレットが提唱した「多世界解釈(Many Worlds Interpretation)」が起源だといわれている。しかしながら、これはあくまでも“解釈”であり、パラレルワールドがあると考えたほうが、この世の森羅万象を説明しやすいということである。(…)

 しかし2014年、豪・グリフィス大学と米・カリフォルニア大学の合同研究チームが学術誌「Physical Review X」で発表した研究は、「パラレルワールドは存在し、しかも相互に影響し合っている」ことを主張しているのだ。わずかではあるにせよ、この世とパラレルワールドのどこかに接点があり、相互に交流があるというのである。(…)

合同研究チームのハワード・ワイズマン教授とマイケル・ホール博士は、新たなコンセプトである「相互干渉多世界(Many Interacting Worlds)」を打ち出している。(…)多世界解釈とは異なり、「パラレルワールドはこの世と同じ時空に存在している」と考える。つまり現実世界とパラレルワールドは、まるで肩を並べあうように、すぐ隣に存在しているということだ。正確に言えば隣ですらなく、実はまったく同じ時空に同時に存在しているのだ。 

さて、専門外の脳科学についても深い見識と明快な分析力を披露しているミチオ・カクは、自身の専門分野では、どの説を支持しているのだろうか。

ここで、こんな質問をする人もいるだろう。どの解釈が妥当か決めるために、とにかく実験をすればいいではないか? 電子で実験をすれば、三つの解釈のすべてで同じ結果が出てしまうだろう。したがって三つとも、同じ量子論にもとづく、まともで有望な量子力学の解釈となる。結果の説明の仕方が違うだけなのだ。

ミチオ・カクらしい上手い逃げ方だと思う。逃げおおせてているだけでなく、逃げる理由が科学的であることを明確に印象づけている。

では、このブログ主がどの説を支持しているか、読者にお分かりだろうか?

答えは、三つ全部だ。三つ全部が同時に成立していると考えている。これは私の創見ではなく、バシャールや仏教の叡智がそのように説明しているのだ。 

どの学問分野の先端に立っても、バシャーリアンの知見が生きてくる未踏のフロンティアが広がっているように見える。今晩も、不等式の連なりを確認しておこうか。

ガブリエル≒ニーチェ<ミチオ・カク<三島由紀夫≦仏教≒バシャール

ところで、今晩はもうひとつ興味深いシンクロニシティを紹介しておきたい。

上の記事でマルクス・ガブリエルによる「無限後退」の設例として、ニーチェ主義者三島由紀夫の描写を自分の言葉にして引用した。

例えばコーラの壜の胴の部分に、そのコーラを飲んでいる女性の絵が描いてある。その女性自身が飲んでいるコーラの壜の胴にも、コーラを飲んでいる女性の絵が描いてある。その女性自身が飲んでいるコーラの壜の胴にも… 

なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ)

なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ)

 

実は、上記の著書でマルクス・ガブリエルが「無限後退」の例として挙げているのが、何とシェルペンスキーのガスケットなのだ。 

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頭が眩々してきた。シェルペンスキーのガスケットと言えば、バシャールがフリーエネルギーの開発の鍵が潜んでいると公言しているアレだ。

「3Dプリンターでプリントアウトするのに、よいものがなにかありますか?」との質問に対して、バシャールは、「マカバ」=「シェルピンスキーのギャスケット」を勧めていました。

バシャールは以前、「時空間アンテナ space-time antenna」というものを紹介してくれたことがあります。「時空間アンテナ space-time antenna」とは、二つの円錐形が合体したものですね。

今回、バシャールは、昔、「時空間アンテナ space-time antenna」として描写したものはおおざっぱなもので、それを洗練させていくと、「シェルピンスキーのギャスケット」になるのだ、というようなことを言っていました。

二つの正四面体が、互いに逆向きの方向で、合体したものを、バシャールは、述べていました。それは、六芒星のようでもあると述べていました。 

「世界の真実≒宇宙の法則」をなしているフラクタル原理と、フリーエネルギーを使用可能にステップダウンさせる方法との間には、どうやら謎めいた関連性があるようなのだ。誰か、この謎の究明にあたろうという有為の科学者はいないだろうか。フリーエネルギーを開発したら、地球まるごと救えるんだけどなあ。

誰の顔を思い浮かべていいのかわからないまま、夜空を見上げていると、かすかにひゅーっという音がして、打ち上げられた光の玉が弾け、夜空に花を描いた。

誰が打ち上げてくれたのだろう。すると、また遠くで小さな光の玉が上がって、ポンと弾けて、夜空に鮮やかな花の残像を描いた。タヌキだということが、自分にはわかった。今日の記事で出現した謎のタヌキが、今晩の夜空に花火を打ち上げてくれているのだった。

ありがとう。嬉しいよ。世界をつかのま化かす魔法をかけてくれて。

またしても、遠くで小さな光の玉が上がっていく。私はその軌跡を涙目で追った。そして、花火の美しさを讃えるあの下町の言葉を、声には出さず、心の中で思いっきり叫んだのだった。

ありがとう、タ抜き。