サハラ以南のコバルトブルー

 世界で最も貧しい国々が集中しているサハラ砂漠以南。

その地域で最も有名だったコンゴ共和国フランコ・ルアンボは、7才でギターを自作して、父が急逝した11歳のときから路上演奏で家族を養ったのだという。

音数がきわめて多い弾き方なので、ルンバの巨匠なのに、曲によっては King Crimson の Robert Fripp のように聞こえてしまうのが可笑しい。

そのコンゴ共和国が揺れている。陽気なルンバのリズムで揺れているのではなく、レアメタルのコバルトを産出するのに、児童労働を使っていることが、国際的に問題視されているのだ。

A Sky News investigation has found children as young as four working in Congolese mines where cobalt is extracted for smartphones. 

スマホ向けのコバルトを抽出するコンゴの鉱山で、わずか4歳の子供たちが働いているのが見つかった。 

  

The mineral is an essential component of batteries for smartphones and laptops, making billions for multinationals such as Apple and Samsung, yet many of those working to extract it are earning as little as 8p a day in desperately dangerous conditions. 

その鉱物は、スマホやノートパソコン用バッテリーの必須材料であり、アップルやサムスンのような多国籍企業が数十億ドルをもたらしていますあ、採掘者の多くは、絶望的に危険な状況で、一日わずか8ペンスしか稼いでいません。

  

With little regulation requiring companies to trace their cobalt supply lines, and most of the world's cobalt coming from the Democratic Republic of Congo, the chances are your smartphone contains a battery with cobalt mined by children in the central African nation.

 コンゴから来るコバルトの供給ラインや世界のコバルトのほとんどを、企業が追跡せよとする規制がほとんどないせいで、おそらくスマホには、アフリカ中部諸国の子どもたちが採掘したコバルト入りのバッテリーが入っている可能性があります。 

児童労働を使わない鉱山企業と取引することに、Apple は積極的だが、他の多国籍企業は消極的だという記事も見られる。自分が iphone に乗り換えたのは、Apple 社がしばしば示す倫理性にある。エシカル消費

(↑コバルトというレアメタル、およびコバメタルに言及した記事↑)

 

けれど、自分の頭でじっくり未来象を見つめてみよう。と書いたら、文字変換に「象」が登場した。さっきかけた曲以来、象トークがまだ続いているのだろうか。象のイメージがつきまとってくる理由が気になる。気にしてはいけない。邪念を去れ、気にしSUGIZO

何をイオンとしているのか自分でもわからなくなってきた、と書こうと思ったら、思い出した。要するに、自分はこう言いたいのだ。リチウムイオン電池ばかり気にしすぎ象!

2011年発売の初期型日産リーフに乗っていた人はバッテリーがすぐにダメになることに不満を抱いていたが、最新のバッテリーは10万マイル(16万キロメートル)の寿命を達成している。

できすぎた話だとの批判は確かにある。これだけのEVを生産するには現在の採掘量の100倍のコバルトが必要だ。さらに、コバルトは銅やニッケルの副産物として採掘されている。つまり、銅やニッケルの需要が伴わなければ、価格はハネ上がる。しかも、その65%はコンゴ民主共和国で産出されているのだ。資源争奪戦による内戦で600万人もの命が奪われてきた、あのコンゴである。 

もう少し短く言い直すと、コバルトの採掘可能な埋蔵量は、世界で700万トンしかない。これをすべてEVに充当しても、7億台。世界が必要としている自動車は毎年約1億台だから、すべてをEVにすると、EVの新車は7年しか発売できないことになる。リチウムイオン電池だけでは、豊かなクルマ社会の未来象を描けないのだ。

(個人的に「自画象」を描くこのゾウが大好き。鼻に花! ピンクの花のあしらい方が小粋だ)

全固体電池の話は一昨晩したばかり。今晩は電池研究の最先端を覗いてみたい。どうなっているのかは、お楽しみっと。楽しい研究が進んでいるのは MIT。

Lithium-air batteries, which have about the same energy density, work in the same way — but sulfur, salt, and water are far cheaper. Lowering cost has been essential to developing energy storage systems that can be scaled for use with the grid. The team estimates that a scaled-up version of their breathing battery would cost between $20 and $30 (USD) per kilowatt hour (kWh) stored to run. By comparison, other storage systems currently available cost about $100 per kWh.

ほぼ同じエネルギー密度を持つリチウム空気電池も同じように動作しますが、硫黄、塩、水ははるかに安価です。 グリッド電力網に接続できるサイズの蓄電池システムを開発するには、コストを下げることが不可欠でした。 チームは、このバッテリーを大型化したものに蓄えられた電気は、キロワット時(kWh)あたり20〜30ドルの費用しかかからないと推定しています。 それに比べ、現在利用可能な他の蓄電池システムのコストは、1kWhあたり約100ドルです。

上記では従来型の1/4程度の控え目な数値が提示されているが、材料コストだけで見ると1/100に近い恐ろしい安さの蓄電池なのだ。このルドックス・フロー型の電池(全液体電池)がどうして重要なのか。それは記事にもある通り、電力網につなぐ格安の蓄電池として、爆発的に普及する可能性があるからだ。

太陽光発電+蓄電池」がエネルギーの世界をがらりと変える可能性が、きわめて高くなってきた。これを称して「ソーラー・シンギュラリティー」とか「バッテリー・シンギュラリティー」という。 

ハント氏は、ここ数年での電気自動車やIOTの技術的進化、そして太陽光発電システムや蓄電池をはじめとする再エネ設備の著しいコスト低下を考えると、ソーラーシンギュラリティは近い未来実現可能だと考えており、同氏はソーラーシンギュラリティが実現すると、『1kWの発電コストが4.5セントに低下する』や『化石燃料と核が絶滅危惧種』となると主張する。

Solar: Why Our Energy Future Is So Bright (English Edition)

Solar: Why Our Energy Future Is So Bright (English Edition)

 

 海外と日本では太陽光発電の位置づけに違いがあるので、日米原子力協定に隠然と支配されたままの日本では、太陽光発電の風は吹かないという人もいる。本当にそうだろうか? 九州の電力状況は象徴的だ。

 九州電力管内では、太陽光の導入量(接続済み量)が今年3月末段階で785万kWに達し、接続可能量(30日等出力制御枠)である817万kWに迫っている。春の昼間最低需要期を迎え、同管内では4月8日正午に太陽光発電の出力が電力需要の約8割に達するなど、大型連休を控えて、出力制御(抑制)に踏み切る可能性が高まっている。 

要するに、太陽光発電がありすぎて余ってしまうので、余ってしまう太陽光発電はもう引き取りませんと、九州電力は言っているのだ。さらに、太陽光発電のコストは、この3年間で半減するのだという。なるほど、「化石燃料と核が絶滅危惧種」となるわけだ。

2019年10月末を最後に、固定価格買い取り制度(FIT)による売電が終了する家庭が出てくる。発電した電気を売るよりも、自宅で使う自家消費が拡大すると予想されている。期待ほど普及していない蓄電池業界にとって需要喚起のチャンスが訪れる。

(…)

それでも19年、自家消費が始まると「蓄電池の価値が高まってバッテリーパリティーに近づく」(小田取締役)と語る。

(…)

 そして「仮想発電所(VPP)がバッテリーパリティーを決定的にする」。VPPは各家庭にある蓄電池をIoTで束ね、一つの発電所のように扱う。電力不足の時、一斉に放電すると火力発電所に匹敵する調整力を発揮できる。放電して需給調整に協力した家庭に対価を支払うビジネスが検討されている。

格安の太陽光発電+格安の蓄電池+スマートグリッドや仮想発電所の活用で、世界は一変すると言われている。

え? 本当? と目を疑ったのは、それは、ネット回線が従量制のダイヤルアップから、定額使い放題のブロードバンド常時接続に代わるくらいの大変化なのだという。おそらくその未来予測は「限界費用ゼロ」系の資源説と結びついているのだろうが、どこにも本や文献を見つけられなかった。

とにかく時間がない。5分、10分のスキマ時間を見つけて、それを適宜高速リラックスにも使って、高速粗製濫造をクリアしていきたい。今晩は時間内に本を見つけられなかったので負けだ。

世界一幸福な動物園の紹介動画をぼんやりと眺めていた。象たちはいくつかの群れに別れて自然に暮らし、餌も与えられるのではなく、自動制御で分散された餌場を、自分たちで探し回って見つける必要があるのだという。

水族館のように、象が泳いで遊んでいるのを見るのが大人気だとか。確かに微笑ましくて、思わず口角が上がってしまう。多くの人々が記念に写真を撮っている。

ただ、そのスマホやカメラのバッテリーに、サハラ以南の4才の子供たちが採集したレアメタルが含まれていることを、自分は忘れたくないと考えてしまう。アフリカ大陸に、世界一幸福な象たちよりも幸福でない人間が何億人もいることが、自分と完全に無関係だとはどうしても思えないのだ。不思議だ。何の係累もないのに。

それと完全に無関係かなのどうかよくわからないが、大学図書館の延長開館が閉まるまでにまだ時間があるので、その時間を有効に活用したいと思う。

同じ星の上で同じ夜を過ごしている人々が、無数に並んでいる並行宇宙のうち、少しでも明るい世界に目覚めたらいいと思う。