2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Road to the True HOMELAND

話はまた天丼から天使に戻る。 昨晩グランドピアノの上で寝そべっていたジェーン・バーキンは1946年生まれ。自分より少し上の世代の男性陣から、ラジオから流れてくるバーキンのエロティックな嬌声に、思春期に惑わされてしょうがなかったという話をよく聞か…

フレンチ天丼的目覚めを待ちながら

勝手気儘に書き流しているように見えて、このブログはさまざまな制約を受けながら、状況を打開するために書かれているものがほとんどだ。一昨晩の記事は「天使に魅せられて美バラードばかり引用せずに、秋晴れの爽快感のある記事を」との要望を受けて書いた…

声を聴きつづけ、越えつづける

ここで紹介した heavenly voice の持ち主 Kirsty Hawkshaw を最初に知ったのは、彼女が King Crimson をカバーしたときのこと。アルバムを買った記憶はあるが、典型的な天使らしい容姿とは異なるベリーショートとユーロビート全開の打ち込み音が、自分からは…

毎日、友好的、時々、天使好き

daily, friendly, sometimes heavenly ここに書いた三つの -ly は副詞ではなく形容詞。slowly や carefully のように、形容詞+-ly は副詞を作るが、名詞+-ly は形容詞となる。意訳すると「毎日、友好的、時々、天使好き」といった感じだろうか。これが現在…

祝祭日の弾丸女王蜂

もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことが出来たなら、その後の人生をどこで過ごそうとも、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ。 移動祝祭日 (新潮文庫) 作者: アーネストヘミングウェイ,Ernest Hemingway,高見浩 出版社/メーカー: 新潮社 発売…

Cry for the Moon

昨晩は0時過ぎに就寝して、6時に目覚ましをかけた。4時間前後の睡眠不足の日々が続いていたので、昨晩くらいは睡眠を分断しない方がいいという判断。5時半過ぎに、死者をも蘇らせるような凄まじい雷鳴が鳴り響いたのに叩き起こされて、そこからシャワーを浴…

素人でも分かる危険な「素人設計」

自分には弟はいるが兄はいない。いないのに想像上の兄貴から、something new を書くよう命じられている気がして、自分に新しい何ができるのかを考えていた。すると今朝、something new は news からやってきた。昨晩の報道ステーションの録画を見ていたとき…

透明な林檎が一生の宝物

何ということだろう。 まやかしに魅せられて、というか、あやかしに魅せられて、といってもたぶん同じことだと思うが、4時間くらい何も書けなかった。あやかしに包まれた中で、誰かと何を話そうかと真剣に考え込んでいて、ところが、待って、まさか全員知っ…

蝶の舞う草原へサイクリングに

松山市の道後にどういうわけか英国式の洋館が現れたときには、何となく場違いな違和感を感じた。地元の名士が手がけているホテル事業にケチをつけたくはないし、良質のレストランやカフェは自分もよく利用している。十数年もたてば、地元民にとっては馴染み…

世界の終わりとアンジェリック・ワンダーランド

「ホールデン・コールフィールドみたいとかなんとか 言われて ご機嫌になるようなタイプ」 とか、そんな風に言われたことはないし、ご機嫌になったこともないけど、むしろどっちかっていうと「Happy Sad」に近いとか、言われたっけ? ま、そんなことは大事じ…

顔が無言で呼びかけてくる

3月くらいのこと。39℃前後の熱に連日連夜侵されて、大きな病院へ行っても原因がわからず、それでも何かを書きつづけなければならない、というような状況に追い込まれたことがあった。20代までの生命と宣告された例の難病の再発ではないことは確認できたので…

生者が祈るように、死者も祈ろうとする

アウシュビッツ以後、詩を書くことは野蛮だ このようにアドルノは、詩的なものがナチスなどに政治利用されやすい脆弱性を持っていることを告発している。では、ユダヤ人として強制労働所で働かされ、その野蛮 さに殺されかけた若い男が、生来の詩人だったな…

川べりに誕生した「棄民文学」

どこかでブラッド・ピットの話をした。自分史の中で印象に残っているのは、まだ彼がスターダムにのし上がる前、29歳の頃の映画。実年齢よりずっと若く見えるブラピが、責任感の強い実直な兄とは対照的に、軽薄で危なっかしいが憎めない良い奴で、小さなこと…

未知の水脈をめぐる饒舌

地政学から時政学へ。 そんな書名のついたポール・ヴィリリオの思想に、その昔ずいぶん惹きつけられていた。ヴィリリオによる「権力は速度を支配するもの手にある」という小気味よい断言は、テクノロジーの進歩と権力の「共犯関係」を暴いた新たな地平を切り…

「反戦」入りのボトルシップ

どこかで見かけた「公知の事実」という言い回しの発祥は、神戸の甲子園周辺にあったのかもしれない。 17歳の自分が、どこか大江健三郎の『セヴンティーン』の主人公に似た境遇にあったことは、この記事に書いた。 その続編の「政治少年死す」は、右翼に恫喝…

「Whoが」遁走しているのか?

「解放」という一語だけでは、誰が解放されたのかはわからない。それは解放ではなく逃走なのかもしれない。わからないまま、よくわからない解放感に包まれて、「美」について考えていた。 哲学の世界で美について説き起こそうとすれば、プラトンからというこ…

『君の名は。』を観る

ずっと観たい観たいと思っていたのに、多忙で観られなかった恋愛映画を、ようやく見ることができた。 涙腺の脆い自分は絶対に泣くにちがいない。そう確信していた通り涙することができたし、30枚近いレンタル棚に1枚しか残っていなかったほどの大人気通り、…

Everything gonna be alright

昨晩『戦場のメリークリスマス』に言及したので、自分が高校時代に運動会で披露した「グラ劇」のことを思い出した。「グラ劇」というのは、グランドを使って上演する演劇のことで、私が上演した劇は(また想像上の兄貴に笑われそうだが)「戦場のマリア」と…

風の谷にある Route / Root

小説の主人公は無名のゴーストライターだが、普通の人が単なる自然な模様だとしか感じないものに、特別な意味を読み取れる能力を持っていて、例えばタイヤのトレッドパターンや死体の背中に浮き出る死斑の模様から、何ごとかを感知できるという設定だった。 …

ピザではなく心のランプ

略称にすると違うものが入り混じって見えることがあって、どういうわけかこのタイミングで、ブラビとブラピについて考えていた。前者はテレビ発の企画もののアイドル・グループで、後者はハリウッド俳優ブラッド・ピットの略称だ。 コード進行は簡単だけど、…

SAKURAの暗号

『桜の森の満開の下』を代表作に持つ坂口安吾に、「アンゴウ」という傑作短編があるのを今朝知った。短編名は「暗号」であり「安吾」であり「暗合」なのだろう。青空文庫で読める。 坂口安吾 アンゴウ 代表作の『白痴』に見られるように、女性を肉感で知覚す…

ちぎられた夕陽を空腹で見つめ直すこと

どこかで海軍の信号兵だった祖父の思い出に絡めて、西條八十の話をした。下の動画で、「宵待草」の作詞は竹久夢二になっているが、本当は映画の主題歌にするために曲が事後的に延長された事情があって、一番の作詞が竹久夢二で、二番の作詞が西條八十が正し…

キャンプを忘れさせてくれる夢を見たい

31才の頃のこと。「有明淑日記」を元にして、想像力を奔放に跳ね回らせて、太宰治『女生徒』を越えるような小説を書こうとしていたことは、どこかに書いた。 その時に考えていた細部が、夜中に不意に蘇って来ることが最近何度かあった。『カラマーゾフの兄弟…

the COLORS that you bring

先日書いた『火花』論で、「先輩」の彼女にこんな台詞を言わせたら… なんていう出すぎたことを書いてしまった。一昨日届いた『劇場』を、いつもの癖で冒頭と末尾だけ読んだところ、『火花』での漫才コンビ「スパークス」のラスト漫才に如実に表れているよう…

ハーヴェイ・ロードを夢見て

ABBEY ROAD アーティスト: BEATLES 出版社/メーカー: EMI 発売日: 2009/09/09 メディア: CD 購入: 2人 クリック: 48回 この商品を含むブログ (41件) を見る このジャケット写真を真似する観光客が後を絶たず、すっかりロンドンの観光名所となったアビイ・ロ…

12号室の女流作家

酒を飲めない未成年の少年が、背伸びをして「酔いどれ詩人」に憧れるなんていうのは、どこにでも転がっているありふれた話なのだろう。 この記事に、自分が高校生の頃にトム・ウェイツに遭遇した体験を書いたが、出会いのきっかけは酒に憧れたからではなく、…

鍵穴を抜ける蝶

「鍵穴を抜ける蝶」という観念が、しばらく前から自分の頭の中に棲みついて離れない。たぶんこのモチーフは、今も自分の想像力の世界を飛び回っているような気がするので、いつか書く恋愛短編連作集に登場するのではないかと思う。 その短編はドッペルゲンガ…