Road to the True HOMELAND

話はまた天丼から天使に戻る。

昨晩グランドピアノの上で寝そべっていたジェーン・バーキンは1946年生まれ。自分より少し上の世代の男性陣から、ラジオから流れてくるバーキンのエロティックな嬌声に、思春期に惑わされてしょうがなかったという話をよく聞かされたものだ。時の流れは速い。現在彼女は70才だ。

そのバーキンが、娘のような世代の heavenly voice の持ち主 Portishead の Beth Gibbons と一緒に歌っている動画を見つけた。

初見ではシュールなくらい意外に感じたこの二人の組み合わせ。薄幸な女性にありがちな悲痛さというパブリック・イメージに共通性があるので、意外に合うのかもしれない。

何より嬉しいのは、バーキンがベスに変な顔をして二人が笑いあっている場面が含まれていること。一目で内向的とわかる性格のベスが、マスコミとのインタビューをすべて謝絶しているらしいという噂が、嘘のようだ。

But she has always refused to speak to the press, and this, along with the bleakness of her music, has led to a perception of her as the band's tortured soul – detached from life's banalities by the consuming intensity of her art. 
しかし、彼女はマスコミのインタビューに答えるのをずっと拒否している。このせいで、ベスの音楽の陰鬱さとともに、彼女がバンドの痛々しい魂であり、芸術に集中しすぎて平凡な日常から切り離された存在だというイメージを生み出している。

ベスが参加したバーキンの「Rendez-Vous」では、何と井上陽水の「カナリア」のカバーも収録されている。コーラスやナレーションで井上陽水も参加している。

どこかで「炭鉱のカナリア」を自称したことのある自分は、この曲を聴きながら、いっそう危機が深まりつつあるように感じられるこの国のことを、またしても考えてしまった。

同じ危機感を抱いている人々も多そうなので、この最新の重要新書にも、ちょっとだけ触れておきたい。

知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書)

知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書)

 

この記事の最後のところで、「3・11後、日本人は大きな謎を解くための旅をはじめた」という印象的な一文に言及した。 出典は矢部宏治の二冊の本だった。

日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか

日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか

 

 この2冊の本をまとめた新書が上記の「知ってはいけない」で、フナッセー(船瀬俊介)らの「食べてはいけない」に似せた書名になっているが、日本人なら絶対に「知らなくてはいけない」ことに間違いない。エッセンスが上手くまとめられていて、四コマ漫画を各章に導入する工夫も効いていて、これは今年度のベスト新書になりそうな予感がする。

詳細は別稿で触れることにして、あとがきに現れた衝撃的な数行にだけ言及しておきたい。

この本は、二〇一〇年六月の鳩山内閣の崩壞と、その九ヵ月後に起こった福島原発事故をきっかけに始めた、約七年間にわたる「大きな謎を解く旅」の全体像を、できるだけ簡単にまとめたものです。
 旅を終えた感想としては、
「日米の軍事的な関係についての闇は、たしかに深かった。しかしそれは、自分たちがあまりに無知だったから深かっただけで、わかってみると案外単純な話でもあった」 というのが正直なところです。

 本文中では、
「あとは、きちんとした政権をつくってアメリカと交渉するだけだ」 と書きましたが、もちろん容易なことではありません。 急いで調べる必要があるのは、他国のケーススタディです。

  • 大国と従属関係にあった国が、どうやって不平等条約を解消したのか。
  • アメリカの軍事支配を受けていた国が、どうやってそこから脱却したのか。
  • 自国の独裁政権を倒した人たちは、そのときどのような戦略を立てていたのか。

 これからは、そうした「解決策を探す旅」が始まります。

え、「旅」の片道分は終わってしまったのか、というのが、最初に来た感想だった。 しかし、もちろん旅には帰路がある。この帰路を歩き切ってこそ、私たちは真の故国へと帰れるのだろう。

上記の3つの箇条書きは、確かに正しい道筋だと思うが、何か知恵を出してくれ、と言われた気がして、対米自立型保守の立場から個人的に二つのアイディアを考えてみた。今日のところで思いついたのは、二つ。①工作員遮断集団による出口調査の実施と、②フリージャーナリストによる Dying Messageの取材だ。

この二つについては、今後も時間を見つけて考えていきたい。

冒頭で紹介した Beth Gibbons が、天使のような歌声で歌い上げる反戦歌に、久々に聴き入ってしまった。名盤「Dummy」の中で最も好きな曲、いや、Portisheadの楽曲の中で最高傑作になるかもしれない。

帰り道の「解決策を探す旅」は、かなりの長旅になりそうだ。天使の歌う反戦歌を聴きながら、その長い帰路を戦友たちと歩いていこうと思う。この Road が、真の独立した祖国へつづく Road であることを信じて。

 

 

 

 

Ohh, can’t anybody see
We’ve got a war to fight
Never found our way
Regardless of what they say

ああ、誰も見えないのだろうか
戦わねばならない戦争が起きてしまい
指導者たちの言葉はあてにならず
どの道を行くべきか見つけられない

 

How can it feel, this wrong
From this moment
How can it feel, this wrong

どんな思いをさせるのだろう
この過ちは
この瞬間から
どんな思いをさせるのだろう
この過ちは

 

Storm.. in the morning light
I feel
No more can I say
Frozen to myself

朝の光のもとにあるのは…嵐
荒れ狂っているのを感じる
もう何も言えなくなる
身体が凍りついたようになって

 

I got nobody on my side
And surely that ain’t right
And surely that ain’t right

孤立無援の感じがして
これはきっと間違っている
これはきっと間違っている

 

Ohh, can’t anybody see
We’ve got a war to fight
Never found our way
Regardless of what they say

ああ、誰も見えないのだろうか
戦わねばならない戦争が起きてしまい
指導者たちの言葉はあてにならず
どの道を行くべきか見つけられない

 

How can it feel, this wrong
From this moment
How can it feel, this wrong

どんな思いをさせるのだろう
この過ちは
この瞬間から
どんな思いをさせるのだろう
この過ちは