2017-01-01から1年間の記事一覧

月から降ってきた温かいエール

最近激しい頭痛に苛まれることが多くなって、深夜に救急病院へ行ったりもするが、医者に診てもらっても、原因はよくわからない。そういう衰弱の中にいるせいだろうか。自分へ向けられた温かいオーラが感じられるような気がする。「しょうがないさ」と諦めて…

浸潤し変化せよとクレオールは言う

「高級ブランドでお食事」シリーズは2夜で終わり。ただし、書き足りないことはいくつもあって、その一つが、セカンド・ハーベスト・ジャパンを起業したマクジルトン・チャールズという人の特異な才能だ。経歴からしてとても興味をそそられる。 創立者のマク…

「ブルガリで小松菜を」

ジャーナリスティックな本はもう読みたくない気がして、或る純文学小説の好きな箇所を読み返していた。 僕は憂鬱な表情のままプレイステーションの電源を入れる。(…)トーナメントのモードにして自分で作成したチームで参加する。(…)予選は敵があんまり強…

「エルメスでサンドイッチを」

カポーティ コレクターズ・エディション [DVD] 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 発売日: 2007/03/16 メディア: DVD クリック: 28回 この商品を含むブログ (109件) を見る 文芸映画としてはそれほど良い出来ではなかったと思う。そ…

# Fight Together With Shiori

人生史上最高の目覚めがどんな風であってほしいかを想像して、上の記事に書いた。といっても、あれは若い頃に抱いていた夢想だから、笑い飛ばしてもらってもかまわない。 Ba Ba Ba! 東京に住んでいるとき、何度か事件に遭遇したこともある。部屋の真上を複…

Brain には洗濯より豆電球を

専門知識を縷説しようとした路彦の眼前を、旧世紀のプロペラと車輪の付いた単葉機が掠めて飛び去ったような気がしたのは、人工心臓を発明した冒険家のことを思わず連想したせいだろう。かつて「翼よ」と呼びかけたリンドバーグの発明品である人工心臓は、そ…

無私してこそ見える新生

無。 とうとう何も書くことが無くなってしまった。外は本降りの雨だし、雨の中を濡れて会社へ来て、ぶるっと身震いしたあと、I'm nothing. と呟いた。Reality bites. 現実は厳しい。そんな名前の映画で、イーサン・ホークが歌っていた曲を思い出したのだった…

美しさと慈しみの「骨」を内に抱いて

映画を観終わってから最初にやったのは、サーチエンジンの検索。「殺された女の子が実は生きていた」。そんな平行世界に自分が生きていることを、どうしても確認したかったのだ。 主役のシアーシャ・ローナンは、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたり…

マヨネーズの出口はいつも☆型

出社して今これを書いているが、本当は今日は休日。昼にいきなり電話がかかってきて、両親と一緒に昼食をとることになった。同じ市内に住んでいるのに、多忙なせいでなかなか会えないので、偶々時間が合って顔を合わせると話が弾む。両親と過ごせる時間も、…

湖底のコクトー的流れ星

どのように書き始めようか。 けれど、どんな格好をつけた文飾を駆使しても、自分は自分だ。蟻が永遠に自分の影から逃れられないように。…… 思わず下手な比喩を使ってしまった。やれやれ、困ったことだ。そこで、比喩の勉強をしようと思い立って調べていると…

「さ」と「み」の間に舞い降りた cosmic girl

もう少しダニエラの話を。プロのシンガーソングライターだから、あのプーチンより遥かに巧く歌いこなせるのはわかるにしても、Radioheadの「Creep」を、なぜこんな若い女の子がカバーしているのか。その辺りが疑問だった。リストを辿っていくと、グランジ・…

sweet home をちょっと覗き見

70年代のアメリカのテレビの番組に「ソウル・トレイン」 というノリノリの音楽番組があった。あんな風に自然な躍動感で踊れるのは、アフロな種族に備わった天性の能力なのだろうか。自分はとてもあんな風に踊れそうにない。 ただ、どうしてだかアフロ犬が大…

「答え」は風に吹かれている

「世界は水でつながり、鏡で隔てられている」 そんな一行を念頭に置きながら、リゾーム的?にあちこちで癒合している平行世界を登場人物たちが行き来しなければならない世界を構想したことがある。「行き来しなければならない」と書いたのは、平行世界と別の…

沈下後の夜の Milkyway

ドリトル先生月へゆく (岩波少年文庫―ドリトル先生物語) 作者: ヒューロフティング,Hugh Lofting,井伏鱒二 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2000/11/17 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (9件) を見る 子供時代に読んだ「ドリトル先…

デジタル時代の Think, Think, Think!

自分の人生が凄まじい展開を見せていて、眩々と眩暈に襲われることも、しばしば。神々のシナリオは本当に先読みできないことばかりで、ジェットコースターに乗っているような心地だ。 どうやら昨晩、「スリッパの使い方が気に喰わない!」という素っ頓狂な難…

ファインダー越しの「www」

www... ん? 誰かがこちらを笑っているような気がする。どうしてだろう。 …気のせいだった。www は worldwide web の略だった。ここがネット上なら、あのような「笑い」さざめく記号によく遭遇するのも、自然なことだろう。 これもどうしてだかわからない。…

炎で浄められたルネッサンスの道

時には母のない子のようにだまって海をみつめていたい時には母のない子のようにひとりで旅に出てみたいだけど心はすぐかわる母のない子になったならだれにも愛を話せない 本当に心身の調子が悪かったり、本当に書くべきことが何も思い浮かばなかったり、それ…

大冒険へは薔薇を連れて

澁澤龍彦や種村季弘など、西欧と日本との「交通」が乏しかった頃に、先駆者としてディープなフレンチ文化情報をもたらしていた先人たちがいる。 澁澤龍彦責任編集のいかにもそれらしい『血と薔薇』という雑誌には、三島由紀夫を始め、ひと癖もふた癖もある多…

ダイアモンドは傷つかない

窓を開けて、と言うなり女は弾かれたようにハンドルに斜めに突っ伏して、白い3連円 のメーターパネルに透明な睡液の糸をぴゅっと吐きつけた。ハンドルが狂って車体が路肩に跳ね上げられ、その縦揺れにやや遅れて、女の唇の端から垂れた糸が、宙空に伸びやか…

「自由」に列車を乗り換えよとCMは囁く

昨晩の記事が少し早く書けたおかげで、時間に余裕ができた。それでも書くべき主題が見当たらないので、綱渡りはつづいている。 いろいろと頭をめぐらせているうちに、ここでゴダールの話をしたことを想い出した。 彼を世界最高の映画監督だと信じている自分…

Creep 入りの試練

いま世界で一番影響力のある男はロシアのプーチン大統領だ。最も強い男と言い換えてもいいかもしれない。 プーチンの世界 作者: フィオナヒル,クリフォード・G.ガディ,畔蒜泰助,Fiona Hill,Clifford G. Gaddy,濱野大道,千葉敏生 出版社/メーカー: 新潮社 発…

方位磁石がNoを指すとき

上の記事でレクサスの話をしたとき、いつか触れてみたいと感じていたのが、エアバッグや「異常走行」を問題視されたアメリカとは異なる文脈でのトヨタ・バッシング。トヨタという一企業の問題というよりは、ヨーロッパの先進的環境思想と日本の後進性との軋…

亡き真実のためのパヴァーヌ

昨晩以下のように書いたこの部分が不評だったようだ。引用元が誤っていたこともあり、微修正を加えたが、大筋でいえば間違った話をしたつもりはない。 すると、この世界の基底的なスペクトラムが「自然ー当然ー人工」となるのがわかるだろうか。説明つきで言…

channel は永遠にそのまま

昼食をいただいてから、海へドライブに行った。浜辺にしばらく腰かけて、静かな凪の海の潮騒を自分に聞かせる。疲れ切っている心身を空っぽにするには、うってつけの対症療法。 女たち 作者: フィリップソレルス,Philippe Sollers,鈴木創士 出版社/メーカー:…

辞書をめくって decency を

普段から、知らないうちに口笛を吹き始めていることが多い。「口笛を吹くと蛇が出る」からやめるよう注意されることもあって、自分は口笛を吹いているときに蛇に遭ったことはないものの、その俗諺が本当なのかどうかは気になる。 蛇が出る小説にそのような描…

ONE Rose, Actually.

これは今日の昼過ぎの出社前、シャワーを浴びているときに降りてきたインスピレーション。インスピレーションは actually, actually…と数回繰り返した。 このタイミングで書いておいた方が良いことなのかもしれないので、今晩はこの話から。 数年前、たぶん2…

玻璃ヶ浦に今は漕ぎ出でな

熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな この熟田津とは、松山市の道後温泉あたりにあった港だと言われている。現在の地図でいうと、海岸線から5km以上離れた山の麓の地点になる。山に港? 道後温泉の地に港があったと言われると、地元民と…

Cat or Dog?

幼稚園の頃、犬と猫は同じ種類の動物で、オスが犬でメスが猫だと思い込んでいた。今でも、「メス犬」と「オス猫」には、何となく違和感を感じる。 と書き出したのを見て、毎晩仕事の傍ら更新しているせいで、とうとう書くことがなくなって、幼稚園時代の思い…

美しきライオンに追われて

神秘体験に慣れていない人たちから見ると、ぼくが「壊れかけてきた」とか「すっかり精神的に参っている」とか、そんな風に見えるのかもしれない。必ずしもそういうわけではない。 話は去年の6月にまで遡る。このブログの初エントリにも少し書いた。 昨夏、仕…

愛だろ、愛

本人が影響を受けたと公言しているジャン=ピエール・リシャール(と未邦訳の誰か)についても、デリダによる完膚なきまでの批判からリシャールを救いたいとどこかで蓮実重彦が記していたことを知りつつも、彼は絶対にリシャールで割り切れるような存在でな…